短時間正社員制度の導入と活用のポイント

2010/04/01 矢島 洋子、根本 直樹
ワーク・ライフ・バランス
働き方改革

近年、ワーク・ライフ・バランスをはかることが可能な働き方の見直しが注目されており、国や企業によって、さまざまな取り組みが進められている。従来、正社員であれば、会社が定めた一律の所定労働時間で働き、残業を命ぜられれば対応することがほぼ必然であった。そのため、家事・子育て等の家庭内役割と仕事の両立等、「時間制約」のある人たちの中には、いわゆる「非正規」の働き方を選択せざるを得ないことも少なくなかった。
一方、企業の立場からも、少子高齢社会に突入し、今後ますます労働人口が減少していく中で、中核人材としての正社員をいかに確保・育成するかが大きな課題となっている。そうした中、国の取り組みとしては、厚生労働省が「短時間正社員」という枠組みで普及をはかっており、また、育児期の短時間勤務については、育児・介護休業法により、企業に制度導入が義務づけられている。正社員としての短時間勤務を含めた多様な働き方の選択肢を設ける取り組みが進んできている。
短時間正社員制度の導入に際しては、制度が目的通りに運用され、ひいては有能な社員の定着や能力発揮につなげていくことが重要である。社員のニーズや導入時に想定される課題を把握したうえで、ニーズに合致した制度を設計し、課題の解決策を立案することが必要である。
また、制度の運用・定着においては、人事評価ならびにキャリア形成上の課題が指摘されている。通常勤務者と同様、短時間正社員の仕事ぶりを正しく評価し、また制度利用中であってもキャリアが形成できるような体制を整備し、確実に運用していくことが重要となる。

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