開発内製化の拡大によるIT導入の生産性向上

2021/07/21 谷口 智史
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経営におけるITの重要性が高まる中、IT導入を生産的に行えるかどうかが企業の競争力を左右する時代となってきました。
本コラムでは、近年進化を遂げているシステム開発ツールや支援サービスを活用した、開発の一部内製化に関してご紹介します。

内製範囲がIT導入の生産性を左右

日本では、IT人材は専門会社に集中する傾向にあり、事業会社においてIT人材は不足しがちな構造となっています。このため、外注による開発でIT導入を行う場合、システム開発会社は事業会社の業務内容に対する理解が不十分なまま開発に臨むことがある一方で、システムに対する事業会社の理解も必ずしも十分ではないということもあり、両者のコミュニケーションや認識に行き違いが頻出することがあります。その結果、システム開発が低品質・高価格・低速度になりがちです。 また、多くの企業が抱える多数の例外処理は、高額な外注開発では開発対象から外れるか、フォーマットのみのシステム化で自動処理を断念することになります。

開発プロセスにおける内製範囲の拡大は、こうした問題をクリアし、システム化できる領域を広げ、システム投資の高速化・効率化を実現します。幸い、近年はパッケージやクラウドサービスが発展し、システム化のハードルが下がりました。また、以降で紹介するようなツールや環境が登場したことで、社内にIT人材が不足していても内製範囲を広げやすくなってきました。

図 システムの導入手段の切り分け方

省エネアドバイス

簡便な開発ツールと支援サービスの登場

長い間、システムは専門知識を持つプログラマーが開発するものでした。ところが、近年、プログラムの知識や経験が少なくても短時間で効率的に業務アプリケーションを開発できるツールが多数登場し、システム開発会社のみならず、事業会社のシステム部門でも活用が進んでいます。
これらのいわゆるノーコードツールは、入力画面や出力画面の設計、データ連携などを、プログラム不要あるいは最小限のプログラミングで開発可能にしてくれます。一定の制約はあるものの、一般的な業務アプリであれば、かなりの割合を自社のみで導入できるようになりました。
また、これらのツールを提供する会社の多くは、研修プログラムや開発者コミュニティも提供しており、それらのサービスを活用することで自社内の人材の能力不足を補うことができます。

部分外注可能な開発支援サービスの発展

さらに、システム開発の発注にも変化が見られます。かつては、システムを開発する場合、開発会社へ開発プロセス全体を一括発注することが実質的に唯一の手段でした。しかし、近年では、クラウドソーシングの登場により、“必要な時期”に“必要な能力を備えた技術者”へ “必要な部分”のみを発注することができ、従量制の技術者派遣サービスを用いれば、自社では開発が難しい部分のみを外注するといったように開発内製化の補助としての利用が可能です。
また、クラウドソーシングでの発注は、開発会社への発注に比べて単価が低く、発注先に対する過去の顧客評価も数値化されています。そのため、発注者としてシステム開発の成果文書の授受さえしっかり行えれば、小規模開発を安価・高速・低リスクで進められます。

さいごに

ここまで述べてきたように、システム開発において内製と外注を的確に切り分けて活用することが、IT導入の生産性を高めるカギとなります。ただし、そのためには一定の体制や組織能力を整備する必要があります。三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは、システム部門の体制強化やシステム子会社の設立を支援しています。ご検討の際は、ぜひご相談下さい。

執筆者

  • 谷口 智史

    コンサルティング事業本部

    デジタルイノベーションビジネスユニット 業務ITコンサルティング部

    シニアマネージャー

    谷口 智史
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