日本型雇用の見直しや人材獲得競争の激化、働き方の多様化など、日本の人材マネジメントが変わる中、従業員の企業や仕事へのエンゲージメント度合いを測定するエンゲージメントサーベイに注目が集まっています。本コラムではエンゲージメントサーベイについて、従業員満足度調査との違いや設計のポイントを交え解説します。
ワークエンゲージメントとは
エンゲージメントとは、会社や仕事に対する従業員の愛着や誇り、関係の深さを表すものと言われます。特に仕事へのエンゲージメントはワークエンゲージメントと呼ばれ、本概念はオランダのユトレヒト大学のShaufeli教授らが提唱した概念で、仕事への「活力」「熱意」「没頭」の三つがそろった状態と定義されています。コロナ禍でリモートワークが進み、従業員のワークエンゲージメントがわかりにくくなったこともエンゲージメントサーベイが注目される背景の一つです。
エンゲージメントサーベイと従業員満足度調査の違い
従来の日本で行われてきた従業員満足度調査は「待遇やカルチャー、仕組みへの満足度」を中心に測るものでした。それに対し、エンゲージメントサーベイは「どのくらい活力を持って仕事をしているか(ワークエンゲージメント)」や「どのくらい自分事として企業や組織の課題を捉えているか(組織コミットメント)」を測るとともに、会社の仕組みや上司とのコミュニケーションの何がそこに寄与しているかを測ります。
また、従業員満足度は必ずしも生産性や定着率と明確に相関しているわけではないですが、エンゲージメント(特にワークエンゲージメント)は学術的にも相関関係が示唆されています。
(出所)令和元年版 労働経済の分析(厚生労働省)をもとに当社作成
エンゲージメントサーベイは最初の設問設計が重要
当社のエンゲージメントサーベイの場合、「ワークエンゲージメント」と「組織コミットメント」の2つの目的指標を軸にエンゲージメントの現状を見える化します。その際に数字の高低が分かるだけでは不十分であり、それぞれに対してどのような要素が影響しているのかを把握することが重要です。
当社のエンゲージメントサーベイでは、さまざまな学術論文や過去実績も踏まえ、影響指標として仕事や環境、成長、評価・待遇、上司、経営など6つの観点から掘り下げた設問をつくり、エンゲージメントに影響を与えている要素を探っていきます。
(出所)当社データアナリティクス型エンゲージメントサーベイ紹介資料より引用
組織コミットメントやワークエンゲージメントに影響を与える要素は、企業によってさまざまです。また、たとえ同じ企業であっても、組織や事業、その中での役割や職種、階層によっても大きく異なります。
そこで、影響要素を正確に把握する方法として、企業の事情や課題に応じたオリジナルの設問を用意することを推奨しています。オリジナル設問は各社の人事の方に設計いただくものもあれば、当社で実際に現場ヒアリングを行い設計するものもあります。実際に当社がサーベイを実施した企業では必ずと言っていいほど、エンゲージメントへの影響要素の中にカスタマイズした設問が含まれています。このことから、エンゲージメントサーベイで正しい結果を得るためには、最初の設問設計が肝であると言えます。
最後に
当社では約80問の設問をベースにサーベイを設計しています。また前述したオリジナル設問の重要性を踏まえ、個別に「どういう社員のエンゲージメントが高い/低いか」をヒアリングし、仮説を立てた上で設問を設定しています。社員の生産性向上や離職防止の施策としてエンゲージメントサーベイをご検討の際は、ぜひ、当社の専門家にご相談ください。
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