会社や仕事に対する従業員の愛着や誇り、関係の深さを測るエンゲージメントサーベイ。そこから導き出された結果から課題を抽出し、効果的な施策につなげるにはどうすればいいのでしょうか。事例を基に、ポイントを見てみましょう。
エンゲージメントサーベイを行った背景
ご紹介するのは大手製造業の事例です。この企業の課題認識は主に2点で、上層部に対して従業員が意見を言えないといった心理的安全性が担保されていないということ、従業員の会社へのロイヤリティが低く主体的な改善意識が希薄だということでした。そこで、「エンゲージメント向上のボトルネックになっている要素は何か」「ボトルネックを取り除き、エンゲージメントを高めるにはどうすればいいのか」を明らかにするためにエンゲージメントサーベイを行いました。
エンゲージメントサーベイの分析結果
エンゲージメントサーベイの結果を分析すると、「ワークエンゲージメント」「組織コミットメント」の双方に対して、「同僚との一体感」と「成長実感」が影響指標であることが判明しました。
さらに「同僚との一体感」に対しては「業務標準化への取り組み」が、「成長実感」に対しては「入社前後のギャップ」がそれぞれ強い影響指標であり、かつスコアが低水準であることがわかりました。
加えて本事例ではサーベイ後に数十名の従業員へのヒアリングも行いました。その結果共通的に確認された問題として、そもそも「自分が何をしたいのか」を持っておらず、自律的にキャリアを描けていない、それゆえに成長実感も持てていない、ということが浮き彫りになったのです。一方の管理職層も部下のキャリアと仕事内容、会社のミッションがどうつながるのかを説明できていないことがわかりました。
エンゲージメント構造とヒアリング結果を基に行った施策
エンゲージメント構造の分析とヒアリングから、「業務標準化」「入社後ギャップ(主に配属ギャップ)の解消」「キャリア自律の支援」が大きな課題とわかりました。ただ最後の非管理職のキャリア自律に関しては、管理職層のサポートが特に重要です。そこでまずは課長層が非管理職層のキャリア支援をできるよう、課長層の業務標準化と部下へのコーチングスキル強化の優先度を高めました。
また入社後ギャップに関しては、オンボーディング施策を強化すると同時に、上司や仕事とのマッチングアルゴリズムの活用を検討し始めました。BP(各事業部のビジネスパートナー)と現場メンバーで組成された変革チームが連携してこれらの施策を具体化し、本社人事が伴走する形ですすめていきました。
施策につなぐ3つのポイント
エンゲージメントサーベイの結果を実効性のある施策につなぐためには、上記のように「定量化による優先順位付け」「定性情報による因果関係の補完」「施策具体化に向けた人事と現場の連携」が大切です。
ご紹介した事例であれば、エンゲージメントサーベイで明らかになった要素に加え、ヒアリングによってエンゲージメント向上を阻害しているものが何かをストーリーに落としこんで整理し、施策を具体化する場面では現場も巻き込んで検討をすすめました。このように3つのポイントに留意いただき、本質的なエンゲージメントサーベイの活用をすすめていただければと思います。
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