「コンテンツ産業の現状と課題」(季刊誌)

2007/01/01 白藤 薫
次世代技術
コンテンツ
人材育成

次世代産業の育成が求められるなか、コンテンツ産業が今後有望な産業として注目されている。我が国のコンテンツ市場規模は約11兆円と大きいが、GDP比でみると2.3%にすぎず、海外に比べて低い水準にとどまっている。国内でのパッケージコンテンツの売上が低迷するなか、今後の市場拡大の可能性としては、通信ネットワークでの流通市場、海外市場が考えられよう。
通信ネットワークによるコンテンツの流通は急速に拡大している。現在は既存コンテンツの二次利用が中心であるが、今後はネットオリジナルのコンテンツを提供していくことが求められる。インターネットは双方向性といった従来のメディアにはない特徴を有しており、映画、テレビ番組、書籍といった従来の枠にはおさまらないかたちのコンテンツが考えられる。例えばコミュニティ形成のプラットフォームになるような新しいタイプのコンテンツを創り出すことに取り組んでいくことが重要である。また、新しい才能を発掘する場、人材を育てる場としてインテーネットを捉えていく必要があろう。
我が国のコンテンツ業界は、国内市場がメインのテレビ局など流通を担っている事業者が力をもっていたために、ゲームなど一部のものを除いて海外進出がほとんど行われてこなかった。そのためコンテンツ制作サイドでは、マーケティング力ならびに企画力が失われるといった問題点があった。海外での売上拡大のためには、アニメ、ゲームを見習い、海外展開を想定した制作ならびにビジネスの組み立てを行う必要があるだろう。

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