環境技術の格差と移転

2007/10/01 弓場 雄一、佐野 真一郎
環境
エネルギー

2008年に開催が予定されている洞爺湖サミットでは、主要テーマの一つとして、地球温暖化対策をはじめとした世界規模での環境保全が挙げられる見込みである。
「21世紀環境立国戦略(2007年6月閣議決定)」では、世界規模での環境保全というテーマにおいて日本がイニシアチブを取るために、環境保全に関わる技術やエネルギー技術を世界的に普及するというビジョンが掲げられている。環境技術の格差を生めるための技術移転の重要性は、益々大きくなると考えられる。
今後、本格化すると考えられる環境技術の移転ではあるが、解決すべき課題もある。社会や環境に対して公益性を発揮する環境技術は、必ずしも事業者の利益に結びつかないという非私益性という性質がある。また、環境技術の多くは民間企業で保有されており、他の技術同様に非公開性という性質も持つ。これらの性質により、通常の技術よりも技術移転インセンティブが発揮しにくい状況に置かれているといえる。
本稿では、環境技術の整理・分類をした上で、環境技術の格差が生じる原因、環境技術の移転に関する論点を述べていく。また、技術移転のインセンティブを高める制度として成功しつつある京都議定書のもとで行われるクリーン開発メカニズム(CDM)の事例を紹介したい。

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