前原国交相の「羽田の国際ハブ空港化」発言や、JALのリストラにともなう地方空港からの撤退表明、スーパー中枢港湾の絞り込みなどを契機として、各地域の立場から空港・港湾への関心が高まっている。そこでは、「国際競争力の強化」と「国土の均衡ある発展」をどのようにバランスさせ、両立させていくのかという、古くて新しい問題が改めて問われている。
そこで、本稿では、日本の空港と港湾をめぐるメガコンペティションの現状について、アジアの空港・港湾との関係からみた大都市圏空港・港湾の国際競争力や、地域活性化を進める基盤としての地方空港・港湾の国際化の観点、特に、日本のハブは仁川空港や釜山港に取られているのか、といった点に着目して整理・分析を行った。
さらに、人口減少社会のインパクトや、阪神・淡路大震災以降の港湾の国際競争力強化への取り組みの経緯、航空自由化や首都圏空港の整備動向等も踏まえたうえで、国際競争力の強化と国土の均衡ある発展の両立の可能性を検討した。その結果、大都市圏の近接港湾の統合や、成田・羽田の役割分担の見直し、大都市圏と地方の空港・港湾の連携強化による輸送需要の集約化などにより、両立は十分に可能であると言える。
さらに、その実現に向けた国・地方の制度設計として、経営感覚を重視した空港・港湾の管理・運営主体の民営化・地方分権化という方向性を提案した。
今こそ、日本の空港・港湾が国際競争力を再強化し、アジアの中で確固たる地位を維持・確保していくための、もしかすると最後のチャンスと言えるだろう。
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