人口減少社会に突入した日本は、今後、諸外国が経験したことのないスピードで高齢化が進展していくこととなる。その中で、人口増加・経済成長を前提とした今までの日本の社会・経済制度は綻びを見せ始めている。たとえば、将来世代の負担となりえる財政赤字の累積、社会保障の給付と負担の世代間格差、若者に対してとりわけ厳しい雇用・就業環境など、若者を取り巻く環境は厳しさを増してきている。それと同時に若者の政治的影響力も低下してきている。
そこで本稿では、日本の若者を取り巻く社会的、経済的、政治的状況を概観したうえで、EUの若者政策の潮流を説明する。そして「若者の参画」について先進的な取り組みを行っているスウェーデンの事例を見ていく。スウェーデンの若者政策・若者参画政策のポイントは、①若者政策の頑健な推進体制が存在している、②「民主主義を体感」する仕組みが社会の随所に散りばめられている、③若者の声を社会に反映させる仕組みがある、④人材の流動性が高くライフコースが多様である、といった点にあると考えられる。
今後、日本の若者参画を進めていくためには、①若者政策・若者参画政策の推進体制を確立する、②国や自治体の審議会に一定の子ども・若者枠(クオータ制)を設ける、③行政の中にNPOで活動する若者や当事者である若者が活躍する場をつくる、といったことが重要になっていくだろう。
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