本稿では、過疎化・少子高齢化という大きな社会基盤の変化、さらには農林業の衰退といった社会経済の基盤の変化が起こっている農山村地域を対象に、中長期的な地球温暖化対策、すなわち低炭素社会の構築に向けた取り組みを行う際の課題および方策案を整理した。
農山村地域については、地域の化石燃料消費量の基礎データが十分に整理されていないことから、現状の温室効果ガス排出量を把握し、効果的な排出削減対策を計画することが困難であるという点、そして対策の実施主体としての人材不足等が課題として挙げられた。一方で、多大な緩和効果が期待されるものとしては、従来の森林等の吸収源機能を活かした取り組みに加えて、豊富なバイオマスの利活用による化石燃料の代替効果、そして遊休地等の未利用地の利活用といった対策が挙げられた。こうした対策は、現状では十分に実施されているとは言い難いことから、将来に向けて効果的な方策を実施することで、農山村地域における低炭素化を促進できると考えられる。
ただし、農山村地域での緩和対策を最大化するにあたっては、周辺の自治体との連携、さらには都市域との連携を欠かすことはできず、たとえば地域一帯の耕畜連携によるバイオマス利用、そして都市域と連携した再生可能エネルギー供給システムの導入等が前提となると考えられた。
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