オバマのオープンガバメントの意味するもの

2010/10/01
アメリカ

オバマ政権は、テクノロジーを駆使して、政府の透明性と国民による政策への関与を強めた新しい民主主義の具現を目指す、というオープンガバメントの基本方針を持って大統領選に臨み、誕生した。本稿では、オバマのオープンガバメントの三原則(透明、参加、協働)のうち、テクノロジーを基盤にして参加の原則が実際にどのように機能するのか、オバマチームが全省庁を対象にした原則の実行プランを策定する過程で実験的に行った参加型ダイアログに焦点を当てて、Social Mediaによる参加型ダイアログの課題を抽出する。
実社会での参加型ダイアログは、参加型民主主義としてこれまで主に欧米の地方自治体で実際に人々が一堂に集会して行われてきた。参加型ダイアログには、いろいろな形態があり、「熟議型」「市民Jury型」「プラーヌンクスツェレ型」等さまざまである。しかしいずれも参加者間でFace to Faceで十分な情報と時間的余裕をもって議論を尽くすという過程を経るものである。参加原則は、まさにこの過程をSocial Media上で行おうというものである。しかも、通常の参加型民主主義で管理可能な地域の共同体を超えて全米規模で行った。実験の結果は本稿に詳述するように、むしろ多くの課題が見えてきたということであった。それではSocial Mediaによる参加型ダイアログは無意味かというと決してそうではない。未熟な方式ではあるが、不特定多数が政策情報を瞬時に容易に共有できるという魅力は何物にも代えがたく、平坦ではないがincrementalかつ斬新に実験を続ける価値がある。
最後に、各省庁の実行状況について、推進を期待する外部の評価は高いとはいえないが、その理由は、三原則と政策過程の理論的実践的関係付けの不十分さに起因するのではないかと指摘する。

テーマ・タグから見つける

テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。