過去の災害対応にみる地方公共団体の業務継続体制の重要性

2011/07/01 平野 誠也
災害
BCP

業務継続計画(Business Continuity Plan:BCP)は、まだ一部の自治体でしか策定されていない。しかし、大規模な災害発生時において、地域防災計画に定められている内容では、自治体は対応しきれないことが多い。地域防災計画には、職員が十分に参集できない、施設・設備が被災して使用することができない等の資源制約を想定していないからだ。また、そのような状況下においては、いち早く被災情報をはじめとするさまざまな情報を収集・分析・整理し、対策を立案・実行していくことが求められる。資源管理と情報処理が重要なのだ。
地域防災計画の災害応急対策計画は、災害時における活動業務を列挙しているだけのものが多いが、活動業務間の時系列的な優先順位を示しておくことは、実際の災害対策時には有効だ。さらに、情報処理の項目として、活動業務間での情報の伝達内容・伝達先、入手内容・入手先を明示するのだ。これにより、大規模な災害発生時においても、何をするのかに迷うことなく、迅速な対策活動に着手することが可能だ。
BCPの策定の原則は、計画策定だけを目的にしない、全庁的な体制で策定する、職員の安全対策も考慮する、平常時における活用方法を考慮する、の4つだ。策定する際には、まず、施設・設備、職員等の被災状況を具体的にイメージし、資源制約条件を抽出することが必要だ。そのうえで、他自治体で実際に被災したときの状況やそのときの対応方法等を参考にしながら、対応策を立案する。あわせて、資源制約のある中で優先的に実施するべき重要業務を絞り込むことが必要だ。これらの計画を策定した上で、これらの対策を実施するために平常時から備えるべきこと、実施しておくべきことを明らかにし、実施していくことが必要だ。

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