近年の製造業全体の構造改革の中、特にBtoB(法人間取引)を事業の中心に据 える企業では新規事業開発、新規顧客開拓等、既存事業の枠組みからの脱却による 事業拡大に向けた活動が活発化している。
これらの取り組みに必要な因子として「顧客ニーズ(顧客の有する事業上の課 題)」の重要性があげられるが、顧客ニーズのとらえ方、特にその深度の解釈は千 差万別であり、失敗事例の多くでは表面的なニーズの有無に終始し、顧客の持つ本 質的なニーズをとらえきれぬままに舵を切ったことが事業としての不成立、あるい は事業にすら至らない原因となっている。
また、製造業において、顧客ニーズから価値ある機能を創造すべきエンジニアも 技術部門の中核という役割に隔離された結果、自社の生産工程の特性やコスト概念 を解さぬままに、顧客から与えられた指示に基づく開発に終始する傾向が生まれて いる。創業世代が担ってきた自社の技術と生産特性を解し、顧客との接点の中から 課題を抽出し、製品として具現化する取り組みが失われつつあることも今日の新規 事業が確立し難い原因のひとつといえよう。
本稿では“ものづくりの原理原則”に立ち戻り、顧客が有する本質的なニーズ (課題)へのアプローチをいかに行い、何をもって他社に対する優位性を確立すべ きかに焦点を当て、製造業として進むべき今後の道筋を提示するものである。
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