近年、フィンテックについての議論が活発化している。フィンテックが銀行の既存業務を浸食するのではないか、ととらえる向きもある。しかし、フィンテックは、既存の金融サービスの延長線上のものが多く、また「個人向け」のサービスが中心である。したがって、「法人取引」中心の既存銀行にとっては、フィンテック企業との協働により一般個人顧客取引が収益源となるのであればメリットも大きい と考えられる。
ただし、フィンテックの浸透・発展にはさまざまな障害が立ちはだかる。日本国内における最大の障害は、日本が世界有数の現金大国であることだろう。
仮想通貨を支える技術であるブロックチェーンは、銀行のシステムを劇的に変革させる潜在力を秘めている。ブロックチェーンは、参加自由なオープン型のネットワークであり、決済情報を外部に出さない従来の銀行の決済システムのようなクローズド型のネットワークとは決定的に異なり、運営コストが著しく低いことが特徴であるが、決済の信憑性がどこまで保証できるかに問題がある。ただ、この信頼性が確証されると、銀行のビジネスモデルが革新されると予想される。また、一部銀行がシステムにクラウドサービスを利用する動きも見られ、これも大きな影響を与えよう。
金融庁は、フィンテック企業に登録制を導入するとともに、この登録業者に対し銀行がシステム開放する努力義務を負うことで、オープンな決済システムの構築を目指している。今後、官民ともに、さまざまな制度設計と体制整備が求められる。
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