熱帯林の減少・劣化は、今もなお未解決の環境問題としてわれわれの前に存在している。近年採択された「パリ協定」や「持続可能な開発目標(SDGs)」において漏れなく森林が取り扱われている事実こそが、この問題の重要性を示す何よりの証左である。
問題を解決するうえで克服しなければならないのが資金の問題である。従来は、先進国政府の資金が熱帯林保全の取り組みを支えてきた。しかし、政府資金に期待するだけでは長期的な熱帯林保全の実現は難しい。各国とも財政が逼迫しており、追加資金を拠出する余力に乏しいためである。ESG時代の到来という絶好の機会をとらえ、民間資金の動員についてわれわれは真剣に取り組まなければならない。
民間資金動員を促すうえで求められるのは、発想の転換である。従来の社会貢献型のCSR活動から脱却し、収益を生み出すビジネスに熱帯林を統合していく必要がある。そのためにも、民間企業自らが熱帯林保全活動を計画し、費用を負担しながら実施するのではなく、新たなアプローチ、すなわち、あくまでも企業は本業ビジネスに資源を投下し、ビジネスの副次的効果として熱帯林保全を実現していくアプローチが重要となる。
既にいくつかの企業が取り組みを開始している。こうした取り組みを今後拡げていくためには、企業の一層の努力に期待するだけではなく、新たな取り組みの芽を丹念に拾い上げ、やる気のある企業を支援していく行政側の努力も求められる。
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