外郭団体改革の現場から

2010/02/22 岩田 雄三
官民協働
自治体経営
公共施設

国や地方公共団体の行革において外郭団体改革が進められている。所管行政庁の人的・財政的関与のあり方の見直し、自主的・自立的な経営改善の促進に取り組んでいるほか、団体の統廃合、団体や事業そのものの存廃についても検討されている。

平成20年12月の公益法人制度改革関連3法が施行された。これに伴い、従来の社団・財団法人は、一般社団・財団法人に移行するか、公益認定を受け公益社団・財団法人に移行するか、いずれを選択するか迫られており、外郭団体の位置づけの明確化が求められるなど、団体を取り巻く情勢は大きく代わっている。
公益認定を受けた場合、(1)公益という名称を独占的に使用することによる社会的信用、(2)寄付金税制の優遇、(3)公益的事業の非課税、といったメリットを受けることが可能となり、多くの団体は公益社団・財団を選択したい。一方で、公益認定を受ける場合、公益目的事業比率が50/100以上という認定基準を満たす必要がある。この認定基準との関係で、民間と競合する領域、収益事業に取り組むか否か、自主的・自立的な経営改善の原資をどこに求めていくか、改めて団体の設置目的や事業計画を整理することになる。
この整理、検討を通じて、より公益的な役割を担う外郭団体への集中化、所管行政庁を含めたスリム化が進むことになる。

社団・財団法人のほか、地方公共団体には、公共施設の管理を目的とした人格を有しない社団、任意団体が設立されている。任意団体は、法人格を有しないため、団体として資産の所有、借入等ができない。また、任意団体の多くは、設立団体の長や役職員が理事を構成し、人事・予算の決済事務を設立団体の役職員が所掌しており、住民ニーズに対する柔軟な対応に限界がある。このように、経営上、事業運営上の制約が多く、法的根拠を有し自立した団体として法人格を取得する動きがみられる。この点に関し、外郭団体改革や指定管理者制度の導入を契機に、既に株式会社化した団体もあるが、任意団体を継続している団体も多い。
地方公共団体の多くは、指定管理者の指定を原則公募としているが、団体の段階的な自立化を促すことを目的に、また制度導入前の受託業務の実績評価を根拠として、株式会社化した団体を含めて、非公募による任意指定を受けた団体がある。多くの地方公共団体では、指定管理者の指定が2巡目を迎え公募方式が導入されるなか、これら団体の安定経営、存続は今後1~2年が正念場となる。
任意団体は、これまで行政運営を補完し、独自に施設等の管理ノウハウをストックしてきた。これらストックを活用し、行政サービスの担い手として継続しうるか、自立した団体としての機関設計や経営方針の立案が急がれる。

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