大震災後の週明け14日から電力の供給不足が懸念されるため計画停電(輪番停電)が始まった。電力の需給バランスを予測して一定の世帯に対して電気を停める(停電させる)こととなった。東京電力の供給エリア(主に関東地方)を5つに分けて、3時間ずつ停電することとなった。週末を除いていずれかの地域で停電は続いている。
計画停電の実施に関しては、地域間でみると以下のような点が不公平である。
- 東京23区、横浜市中心部など、そもそも対象となっていない地域があり、対象人口(世帯)比で考えると効果の大きい地域がはずれている。(地域間の不公平)
- 同じ自治体(地域)でも、変電所等の都合により対象となるところとならないところがある。(地域内の不公平)
- 鉄道の運行に関しても、都心の鉄道はほとんど平常通りであるが、郊外へ向かう路線については運行されていない場合や、夕方に運休となってしまう場合がある。夕方にダイヤが変更されると地震発生時と同様の帰宅難民を産むことになる。(路線による不公平)
なお、東京電力は26日から地域割を見直し、停電地域を県単位で詳細に分けることにしたが、抜本的な不公平の解消には至っていない。
また、経済活動に関しては、以下のような問題が起こっている。
- 1日に3時間の停電が起こるため、1日単位での活動が難しい。工場の操業、商店やサービス施設の営業などが細切れとなり、生産・販売活動の非効率が発生することが考えられる。また、日替わりであるため、毎日スケジュールを立て直す必要がある。
- 前日の夜に翌日午前の予定、当日の朝に午後の予定が発表されるが、直前に回避されても、営業の準備、従業員の確保が難しくなってしまう。
- 停電により公共施設等が休止してしまうことにより、行事やイベントの実施が不可能となっている。
- 非正規労働者を中心とした雇用が不安定になり、生活への影響が出てくることが懸念される。
しかしながら、原子力発電所の操業見込みが立たないこと、他地域からの送電量に限界があることから、計画停電の長期化が見込まれている。電気はライフラインのなかでも最も重要であり、停止すると水道やガス、電話も実質的に使えなくなることから、影響は大きい。また、信号や街灯も消えるため、交通事故や犯罪の発生等生活における安全が脅かされることにもなる。
節電に努めることはもちろんであるが、どのようにすれば、生活や経済活動への影響を小さくできるだろうか。可能な方策としては以下のようなことが考えられる。政府としても積極的に関与し、以下の点についても検討しつつ計画を変えて欲しいと考える。
- 製造業等の大口需要者に対しては、1日単位の停電である方が計画を立てやすいと考えられるため、操業割り当てを実施する。また、電力需要が高まる夏季には、交代で操業を休むような計画を立てて、需要が上回らないようにする。
- オフィス業務については、出退勤時間のフレックス化や在宅勤務を奨励し呼びかける。夏休みの一斉休業についても実施するように呼びかける。
- 鉄道の間引き運転を実施する。都心の路線においても、一定の割合で間引き運転を行い、電力需要を抑制する。また、郊外路線の運行確保に努めるようにする。
- 地域単位で一斉休業日を設け、電力需要を少なくする日を作る。
- 太陽光エネルギー利用等の普及をこれまで以上に進め、政府として奨励策を継続する。
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