東北地方に甚大な被害を与えた東日本大震災に関し、各種の統計を所管する省庁では、その被害の状況や復旧・復興の状況を客観的に把握するための各種情報の提供が継続的に行われている。また、各地域における影響の大きさを把握するために、さまざまな特別集計も実施されている。
被害の甚大さを改めて思い知らされる辛い数値であるが、今後の復旧・復興に向けて、あるいは今後の防災を考える上で、目を背けることは許されない情報でもある。本稿では、様々な主体から提供されている統計情報の概要をまとめる。
被害状況に関する情報
警察庁「被害状況と警察措置」(http://www.npa.go.jp/archive/keibi/biki/index.htm)
- 人的被害(死者、行方不明者、負傷者)、建物被害戸数(全壊、半壊、流出、全焼、半焼、床上浸水、床下浸水、一部破壊、非住居被害)等を都道府県別に把握可能
消防庁「災害情報」(http://www.fdma.go.jp/bn/2011/)
- 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)
- 8月3日現在の最新報は第134報(7月28日発表)
- 人的被害(死者、行方不明、負傷者(重症・軽傷別))、住家被害(全壊、半壊、一部損壊)、火災件数・鎮火件数を市町村別に把握可能
内閣府「被災者等の状況」(http://www.cao.go.jp/shien/index.html)
- 被災者の推計
死者・行方不明者(警察庁調べ)、避難所にいる避難者、避難所以外に避難したもの、住居等に入居済みの者の人数を把握可能
- 全国の避難者等の数
県別に、「避難所(公民館・学校等)」、「旅館・ホテル」、「親族・知人宅等」および「住宅等」の施設別に避難者数を把握可能
被災地域の概要に関する情報
総務省統計局「東日本大震災関連情報」(http://www.stat.go.jp/info/shinsai/index.htm)
- 被災地域に関する統計情報
平成22年国勢調査・小地域概数集計(町丁・字別)、経済センサス基礎調査特別集計、社会・人口統計体系からの抜粋データ(人口、世帯数、学校数、病院数等の37項目、および消防庁、国土地理院等から公表されている死者数、行方不明者数、浸水範囲面積等の各種数値)等を取得可能
なお、平成22年国勢調査については、岩手県、宮城県、福島県の3県を対象として先行的に集計が進められており、人口に関する基本集計が7月27日に以下のURLにおいて別途公表されている
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/NewList.do?tid=000001039448
経済センサス基礎調査については、6月3日に特別集計結果が更新されたが、6月30日に全国を対象とした町丁字別本集計結果が、以下のURLにおいて公表されている
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001032229&cycode=0 - 津波による浸水範囲に関する統計情報
国土地理院による浸水範囲概況に基づいた、浸水範囲の人口・世帯数(平成22年国勢調査・基本単位区特別集計)、事業所数・従業者数(経済センサス基礎調査調査区特別集計)を取得可能
ただし、本集計は、国勢調査基本単位区および経済センサス基礎調査調査区のうち、全部または一部が浸水範囲となったものを抽出・集計した値であり、実際の被害や被害者数を表すものではないことに注意が必要 - 震災の影響等に関する統計情報
サービス産業動向調査、家計調査(二人以上の世帯)、小売物価統計調査等の特別集計により、震災による産業・消費面の影響に関する分析レポートを取得可能
国土地理院「平成23年(2011年)東日本大震災に関する情報提供」(http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/h23_tohoku.html)
- 被災地域の空中写真、地殻変動観測結果、津波による浸水範囲、交通状況図等、様々な地図情報が取得可能
- 津波に関する情報として提供されている「浸水範囲の土地利用」では、浸水範囲の土地利用図(PDF)に加えて、津波浸水範囲に含まれる100mメッシュの中心点経緯度データが提供されている。
国土交通省国土計画局「東日本大震災関連情報」(http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/kokudokeikaku_tk3_000015.html)
- 浸水範囲を対象とした、人口・世帯数、総生産、就業者数、事業所数等に関する特別集計結果を取得可能。
- なお、集計にあたっては、国土交通省が提供する「国土数値情報」と国土地理院による「浸水範囲概況図」が用いられており、集計値の他、全国に占める割合、被災地域全体に占める割合等が整理されている。
(※)この他にも、各自治体や地方局において、それぞれ地域の詳細情報が提供されている。本稿では、被災地域全体の俯瞰に有効と思われる情報提供先を紹介した。
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