中央省庁の地方移転に関する方針について

2016/04/01 山下 八重子
地方

3月22日に「政府関係機関移転方針」がまとめられ、文化庁が京都府に全面的に移転することが正式決定した。

文化庁は、国民の間でも比較的「知名度が高い」省庁の1つであり、また移転に伴い約200人の職員が東京から京都市に転入する見込みであることから、政府にとっては大規模かつ「中央省庁の地方移転を印象づける」実績ができることになる。また、京都府や京都市は、文化政策の基幹的役割を担う機能の移転に伴い、「日本の文化の中心」としての位置づけを獲得することから、この移転は両者にメリットをもたらすものになると考えられる。

一方、徳島県が誘致している消費者庁については、機能や行政サービスの維持等に関する懸念が示されているほか、関係団体等の反対も強い。

仮に実現した場合、消費者庁の移転が徳島県に与えるインパクトは、文化庁の移転が大都市圏である京都府に与えるインパクトよりもはるかに大きいものになると予想され、地方創生の象徴的な事例となることも考えられるが、結論については、試行による検証の結果を待たなければならない。

なお、道府県が誘致している中央省庁のうち、中小企業庁、特許庁、観光庁、気象庁は、移転の対象としないことが決定しており、総務省統計局は、消費者庁同様、結論が先送りされているが、上記のケースにおける移転のメリット・デメリットを検証するとともに、地域振興と国全体としての利便性等のバランスを考慮しつつ、中長期的な観点から、地方創生に資する中央省庁の移転が継続的に検討されることが望まれる。

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