政府は定年年齢の段階的引き上げを決定

2024/12/16 丸山 健太
調査レポート
海外マクロ経済
アジア
中国

1.政府は定年年齢の延長を決定

中国政府は2024年9月、全国人民代表大会(全人代)常務委員会(立法機関、全人代閉会中の立法機能を担う)第11回会議にて、定年年齢の段階的引き上げを決定した。現行の定年年齢は、男性が60歳、女性管理職が55歳、女性非管理職が50歳だが、これらをそれぞれ63歳、58歳、55歳に引き上げる。2025年1月1日から、男性と女性管理職は4カ月ごとに定年年齢を1カ月、女性非管理職は2カ月ごとに1カ月引き上げる。最終的に定年年齢引き上げプロセスが完了するのは2039年末であり、15年かけて段階的に実行される。
同時に、人口高齢化への積極的な対応、就業・起業支援の強化といった雇用対策などが打ち出されたほか、年金受給のために必要な社会保険料の最低納付期間を、これまでの15年から20年に引き上げることが決定された。

『MUFG BK 中国月報 2023年5月号』の拙稿(「定年延長は労働力減少対策に有効も、課題は山積」)で中国の定年年齢延長に関する話題を取り上げたが、当時は2023年中の政策策定を予想していた。また、政府に近い有力な研究者などが定年年齢を65歳まで引き上げるよう提言していたことを勘案すると、今回の定年年齢延長の決定は、政策実施までの動きが鈍いうえ、内容も不十分であると評価されよう。中国経済の減速感が強まる中、政府は定年年齢の延長が社会不安を誘発しないよう配慮したとみられる。

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