○関西地域における個人消費は、このところ「横ばい状態」で推移している。「家計調査の消費支出」、「大型小売店販売額」、「自動車販売額」、「家電販売額」などの各種消費関連の指標は、足下の改善を示すものや重い足取りを示すものなど様々であるが、総じてみれば「横ばい状態」と判断される。関西の消費を全国や他の地域と比べると、相対的に弱い状態が続いている。
○関西の消費が弱い要因のひとつとして、全国と比べて雇用所得環境がなかなか改善しないことがあげられる。失業率、有効求人倍率、現金給与総額などの推移を見ても、関西の数字は全国に比べて改善の度合いが弱い。関西の域内総支出に占める消費の割合は、全国と比べて高く、その消費の足取りが重いことが、関西経済の停滞につながっている。
○近年、関西では大阪都心部を中心に大型商業施設の新規開業が相次いできた。大阪市の大型小売店販売額の推移を見ると、大阪ステーションシティの開業などの影響で、2011年に販売額が大きく上方にシフトした後、足下まで高水準の販売額を維持してきた。一方、大阪府の大型小売店販売額の動向を見ると、2011年に大きく上方シフトしたが、2012年に入って以降、全国レベルの販売低迷と歩調を合わせて、減少傾向で推移してきた。2011年春の大阪ステーションシティの開業は、同年以降の大阪市の販売額を引き上げ続けたが、大阪府全体の販売額を引き上げ続けるだけの効果はなかったと考えることができる。2012年に入り、大阪府レベルで販売水準の低下が見られたということは、大阪市外での消費が新規店舗開店の影響を受けて市内に流れた可能性も考えられる。
○2013年以降も、大阪の都心部では大規模な商業施設の新規開業が相次いで予定されている。新たな商業施設の開業は、消費者に新たな消費機会を提供することから、消費の起爆剤にはなりうる。ただ、その効果が広い範囲で持続的に続くためには、雇用・所得環境など需要サイドの経済環境の改善が必要となってこよう。
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