ポーランド経済の現状と今後の展望~東欧最大の新興国として注目されるポーランド~

2015/09/28 堀江 正人
調査レポート
海外マクロ経済

○ポーランドは、旧ソ連を除く東欧で最大の人口・面積・経済規模を有する地域大国であり、マクロ経済は欧州域内でも屈指の堅調さを見せている。特に、リーマンショック翌年の2009年には、欧州で唯一、ポーランドだけがプラスの経済成長率を記録し、注目を浴び。

○ポーランド経済の堅調さは、個人消費を中心とする内需の規模が大きく、チェコやハンガリーほど輸出の好不調の影響を受けないという経済構造によるところが大きい。また、ポーランドは。財政規律を維持しており、銀行部門も健全である。

○ウクライナ問題を巡ってEUとロシアの関係が悪化しており、その影響で、ポーランドのロシア産原油・天然ガス輸入が減少する恐れもある。しかし、そうした事態になったとしても、ポーランドは、エネルギー面では、国内産石炭への依存度が高いため、他のEU諸国より打撃を受けにくい。

○ポーランドの通貨ズウォティは、かつて、国際金融市場でリスクの高い新興国通貨として扱われていた。しかし、今では、ズウォティは、ユーロに準じて信認の高い「ユーロの派生通貨」的な位置付けで捉えられるようになり、対ユーロ為替相場は安定的に推移している。

○ポーランドは、ユーロ導入のためのマーストリヒト基準をほぼクリアしており、経済ファンダメンタルズの面ではユーロ導入準備がほぼ整っている。しかし、ユーロ圏の相次ぐ経済危機や、ユーロ導入に伴い金融政策のフリーハンドを失うことに対して国民の警戒感が強いため、実際の導入は当面難しそうである。

○ポーランドへのFDIは、EU加盟を契機に大きく増加したが、最近は、欧州企業が本国の景気悪化の影響でポーランドの投資案件のリストラを進める傾向も見られる。日本企業のポーランドへのFDIは、自動車関連と薄型TV関連がメインであったが、薄型TV組立工場は採算悪化のため撤退した。

○ポーランドでは、今後、多額のEU構造基金が投入されてインフラ投資が進められる見込みであることから、日本企業に参入チャンスのある火力発電所やゴミ焼却場などのインフラ案件が増加することも期待される。

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