○「仮想通貨法」が国会に法律が提出された2016年3月頃、仮想通貨の種類は500強、仮想通貨全体の時価総額も約8,000億円程度に過ぎなかった。マウントゴックス事件のような大規模な被害が発生したものの、仮想通貨は「将来性のあるブロックチェーン技術を活用した決済手段」と見做され、いたずらに規制強化することは避け、資金決済法の範疇と捉え法律が制定された。
○しかし、仮想通貨法は2017年4月の施行後、「仮想通貨を国が認定した」と印象づけられたこともあり、仮想通貨の価格高騰の一因となったようである。現実の仮想通貨は、仮想通貨法制定時に想定された仮想通貨市場とは大きく異なり、決済手段として使われることは極々限られ、もっぱら投機の対象と化している。コインチェック事件のような過去最大の大規模な被害が発生した以上、現状を踏まえて、何らかの規制の見直し・強化を図らなければならなくなった。
○具体的には、下記の観点を中心に、金融商品取引法の対象とするかどうかの問題も含め、検討されるだろう。
1)セキュリティ強化や内部管理・ガバナンス体制の構築
2)レバレッジ規制の導入
3)情報開示の強化、自己資本比率規制の導入
4)不公正取引防止規制の導入
5)損失をカバーする基金の創設
6)本人確認の強化
7)ICO(Initial Coin Offering)への規制
○仮想通貨交換業者については、規制強化を踏まえ、対応できない業者について撤退したり、大手業者の傘下となるなどの再編も進むと思われる。
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