就任から1年が経過したマクロン仏大統領の経済改革~労働市場改革を中心に一定の進捗~

2018/06/14 土田 陽介
調査レポート
海外マクロ経済

○フランスでマクロン大統領が就任してから2018年5月で1年が経過した。この間、弱冠40歳という若い大統領は、盟友フィリップ首相とともに国内の経済改革を推し進めてきた。

○マクロン大統領の経済改革を一言で表現するなら、それは規制緩和の推進による民間経済の活性化に他ならない。規制緩和によって政府の役割を後退させて民間の活力を刺激し、生産力の向上を図ることを目的とする改革である。その中でも、労働市場改革は着実に進捗している。

○改革の効果は中長期的に顕在化するものだが、ビジネスフレンドリーなマクロン大統領の経済改革は短期的にも企業のマインド改善に貢献していると考えられる。マクロン大統領の経済改革を好感し、グローバル企業はフランス投資を増やす計画を相次いで発表している。こうした流れがフランス系企業にも広がるかどうかは、今後のマクロン大統領の経済改革の進捗次第だろう。

○マクロン大統領の経済改革を成功させるためには、2つの大きなハードルを乗り越える必要がある。第一のハードルは、フランス景気が好調なうちにどれだけ経済改革を推進できるかにある。さらに有権者の支持をどれだけ広げることができるか、またはつなぎとめることができるかも重要なポイントになる。これが第二のハードルである。特にフランスの将来を担う若年層を中心に雇用機会を増やしていくことが望まれる。

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