- 2021年7~9月期の鉱工業生産は前期比▲3.7%と5四半期ぶりに減少した。特に弱さが見られるのが自動車工業であり、2021年に入ってから3四半期連続で減少している。
- 自動車工業の弱さの原因のひとつが、半導体不足である。車載向け半導体大手の工場が2021年1~3月期に相次いでアクシデントに見舞われたことで不足感が強まり、今春以降、自動車メーカーは工場のラインを停止する等の生産調整を余儀なくされてきた。
- さらに夏場には、自動車部品の工場が集積する東南アジアで新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、半導体以外の部品供給にも支障が生じた。この結果、自動車メーカーによる生産調整の動きに拍車が掛かり、足元で自動車生産は大きく落ち込んでいる。
- こうした半導体や部品の供給不足を受けて、2021年の乗用車(普通・小型・軽)の生産台数は年間120万台程度、金額換算で2.5兆円程度、押し下げられる見込みである。これは、最新2015年の産業連関表をもとにすると、名目GDPを最大2.5兆円程度、つまりは2021年の名目GDP成長率を▲0.4~▲0.5%pt程度、押し下げる計算となる。
- 足元で大きく落ち込んでいる自動車生産だが、10月以降は徐々に半導体や部品の供給不足が解消される中で、持ち直しの動きを強めていく見通しである。年明けには大手自動車メーカーが挽回生産を計画しているとの報道もあり、不確実性は強いものの、今後は自動車生産の持ち直しに併せて国内製造業の生産活動も再び活発化していくと期待され、2022年の景気にとって明るい材料となる。
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