足元の鉱工業生産の動向と今後の見通し~自動車生産の回復や堅調な半導体需要に支えられ、持ち直しの動きを強めていく~
2021/12/07 藤田 隼平
調査レポート
国内マクロ経済
- 国内の鉱工業生産は2021年7~9月期に前期比▲3.7%と5四半期ぶりに減少した。10月には前月比+1.1%と4か月ぶりに増加するなど下げ止まりつつあるものの、依然として7~9月期を下回る低い水準となっている。
- 鉱工業生産に大きな影響を及ぼしているのが、世界的な半導体需要の拡大である。半導体集積回路や半導体製造装置を手掛ける電子部品・デバイス工業や生産用機械工業といった半導体関連業種の生産が堅調に増加している一方、車載向け半導体等の部品不足が供給制約となってきた輸送機械工業の生産は大きく落ち込み、全体を押し下げている。
- 今後も電子部品・デバイス工業や生産用機械工業の生産活動は堅調に推移すると考えられる。一時的な在庫調整に直面するリスクはあるものの、構造的に5Gや車の自動運転、IoT、AI、スマートシティ等の進展に併せて半導体関連業種の需要は一層高まっていく可能性が高い。
- また、輸送機械工業についても、10月の生産が4か月ぶりに増加するなど下げ止まりつつあり、年明けには大手自動車メーカーが挽回生産を計画しているとの報道もあることから、今後は持ち直しの動きを強めていくと考えられる。
- オミクロン株等の変異コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の再発出や部品不足の解消の遅れなどによって持ち直しが緩やかなものにとどまるリスクはあるものの、国内の自動車生産が最悪期を脱する中、堅調な半導体需要にも支えられて、今後、鉱工業生産は持ち直しの動きを強めていくと期待される。
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