マクロ経済の視点から見たウクライナ問題~「テイクオフ」への展望を描くことができない

2022/02/18 土田 陽介
調査レポート
海外マクロ経済
  • ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、諸賢により地政学的な分析が数多くなされている。他方で、ウクライナの経済動向に関する分析は余り多くない。そこで、1991年12月の旧ソ連崩壊以降のウクライナの経済動向について簡単に整理してみたい。
  • 独立以降、産業・貿易構造の転換を果たせていないことが、今に至るまでのウクライナの経済の不調の根幹にある。さらに、産業・貿易構造の転換を本来なら促すべき政治が長期にわたって不安定であり、堅実な経済運営がなされてこなかった。そうした中でIMFやEUから課された構造調整策がウクライナの経済の体力を奪うという構造が出来上がってしまったと言えよう。
  • ウクライナの経済が本格的な「テイクオフ」を実現するためには、政治そのものの安定が不可欠となる。しかしながら今回の情勢の緊迫化が改めて明らかにしたように、ウクライナの政治はEUとロシアの間で激しく揺れ動いている。経済発展の前提である政治の安定が簡単に達成されそうにないばかりか、その道のりは一段と遠のいてしまったきらいが否めない。
  • ウクライナの事例は、いわゆる「破綻国家」が経済を再生することがいかに困難であるかを端的に物語っている。

続きは全文紹介をご覧ください。

テーマ・タグから見つける

テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。