食料品の値上げはいつまで続くのか?~年後半にかけて伸び鈍化も家計の負担増は続く~

2023/03/17 藤田 隼平
調査レポート
国内マクロ経済
変化を捉える【経済】
  • 食料品の値上げが相次いでいる。総務省「消費者物価指数」に基づく食料価格は2014年を境に上昇に転じ、2021年は足踏みとなったものの、2022年には前年比+4.5%と一段と伸びを高めている。
  • 近年、生鮮魚介や野菜、果実等の生鮮食品の価格には、農作物の収穫量や漁獲量の減少、高品質で単価の高い優良な農作物への転換等を受けて構造的に上昇圧力が加わってきたが、2022年以降は円安等を背景に輸入魚介や肥料等の価格が上昇したことでさらに値上がりしてきた。
  • また生鮮食品以外の食料の価格についても、原料となる肉や魚、野菜等の価格や容器類の価格が上昇したことで生産コストが増加し、それらを販売価格へ転嫁する動きが強まる中で、幅広い品目において値上げが生じてきた。
  • もっとも、2023年に入り、為替相場が円高に振れていることもあり、輸入魚介や肥料等の価格はピークアウトしている。このため、今後、生鮮食品の値上がりは次第に落ち着いてくると見込まれる。
  • 一方、生鮮食品以外の食料の値上がりについては、これまでのコスト増加分の価格転嫁の動きがいつまで継続するのか次第である。食料品の価格改定頻度と食料品製造業の売上原価率はおおむね連動している。このため、原価率が元の水準に落ち着くまでは食料品の頻繁な値上げは続くとみられるが、徐々に価格転嫁が進んでいることから、2023年後半以降は次第にそのペースも落ち着いてくると期待される。
  • 食料は人々が生きていく上で必要不可欠であり、その値上がりは日々の暮らしに打撃を与えると考えられる。近年、家計のエンゲル係数は上昇傾向にあるうえ、2023年には食料価格の高騰により家計の負担額は約6万円も増加する見通しである。家計の負担増が続けば、消費者の間に節約志向が広がり、コロナ禍からの需要回復に水を差すことになりかねない。そうした事態を避けるためにも、春闘での賃上げ進展に加え、状況によっては政府による追加的な支援が求められる。

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