中国の「過剰貯蓄」~消費に回るかはマインドの改善次第

2023/04/18 丸山 健太
調査レポート
海外マクロ経済
アジア
中国
変化を捉える【経済】

1. ゼロコロナ政策撤廃も消費の回復は鈍い

2022年12月、中国政府は約3年続けたゼロコロナ政策を撤廃した。ゼロコロナ政策下では厳格な行動制限により経済活動が停滞した。それだけに、同政策の撤廃を受け、IMFやOECDなどの国際機関は2023年の成長率見通しを引き上げるなど、中国景気の回復期待が高まった。とりわけコロナ禍での落ち込みが大きかった個人消費の反動増、すなわちリベンジ消費への期待は大きい。すでに一部ではリベンジ消費の兆しもみられる。1~2月の小売売上高のうち、化粧品類(前年比+3.8%)や金銀宝飾類(同+5.9%)、服飾類等(同+5.4%)や、コロナ禍で打撃が大きかった飲食サービス消費(同+9.2%)はそれぞれ4~6ヶ月ぶりに増加に転じた。

もっとも、個人消費は回復に転じたとはいえ、そのペースは鈍い。1~2月の小売売上高全体は前年比+3.5%と、昨年9月以来の前年比プラスとなったが、コロナ前2019年は通年で前年比+8.0%だったことを考えると、伸びは小幅にとどまった(図表1)。昨年末の自動車減税・補助金の終了で自動車類(1~2月前年比-9.4%)が減少したほか、住宅販売の低迷に伴い家電・AV機器類(同-1.9%)の減少が続くなど耐久財消費の落ち込みが、個人消費の回復ペースを抑制している。

そうした中、コロナ禍で生じた「過剰貯蓄」がリベンジ消費の追い風となることが期待される。

続きは全文紹介をご覧ください。

テーマ・タグから見つける

テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。