足元の欧米銀破綻の要因と展望

2023/04/26 廉 了
調査レポート
金融機関
変化を捉える【経済】

米銀2行の破綻

  • 2023年3月10日米銀シリコンバレーバンク(SVB)、12日シグネチャー銀が次々に破綻。取り付け騒ぎで経営破綻したため、米当局は、預金全額保護で金融不安の鎮静化に努める。
  • 両行は、コロナ禍の中、スタートアップ企業(SVB)、暗号資産取引業者(シグネチャー)関連の預金が急増し、SVBはその資金を債券投資に当てたが、SVBは、その資金の大半を10年超の満期保有目的で債券投資に当てるなど、商業銀行として異例の対応を行った。
  • また、両行ともに9割を超える預金保険外となる25万ドル以上の大口預金が占めており、これも商業銀行としては異例。取り付け騒ぎに対応できず破綻した。
  • 破綻した2行は、他の米銀には見られない流動性管理失敗を犯しており、他行への波及の可能性は低い。また、1980年代初のS&L危機との類似点も多く当局の監督失敗の面も。

クレディスイスの破綻

  • クレディスイスは、米銀の破綻の余波で取り付けが発生し実質破綻。3月19日当局主導で、クレディスイスとUBSが統合。
  • 背景には度重なる取引先の破綻と不祥事が重なったことや、スイスの銀行が、投資銀行業務と富裕層業務の両方に問題を抱え、ビジネスモデルの限界が見えたことも影響。
  • nUBSとの統合の中、AT1債を無価値化することが発表され、市場が混乱し、この損失が世界中に広がる。投資家の当局に対する不信感は根強く、AT1債市場では、混乱の火種が残る。

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