1. はじめに
米国のジョー・バイデン大統領は5月27日、連邦議会のケビン・マッカーシー下院議長と、連邦政府債務の上限を引き上げる一方、歳出を削減することなどで基本合意した。合意内容をまとめた「財政責任法」が31日に下院で、6月1日に上院でそれぞれ可決され、3日バイデン大統領の署名で成立した。6月5日にも財政資金が枯渇する恐れがあったが、米国債のデフォルトは回避された。
米国の連邦政府債務には法定上限が設定され、政府債務が上限に達すると、追加の債務措置を行うために法定上限を引き上げる必要がある。政府債務の上限引き上げはこれまでもしばしば政治問題化を繰り返してきた。
本稿では、米国の政府債務上限引き上げ問題の意義を考察する。過去の政府債務上限引き上げ問題を振り返り、今年2023年の債務上限引き上げ問題の解決に向けたこの1ヶ月の政治動向や、与野党の合意事項をまとめた「財政責任法」の概要を整理する。それらを踏まえ、債務問題の意義を考察するとともに、最近の米国の政治経済情勢についても触れる。
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