中国に替わる生産・輸出拠点として注目されるベトナム

2023/07/18 井口 るり子
調査レポート
海外マクロ経済
アジア
変化を捉える【経済】

米中対立などの地政学リスクの高まりを背景に、近年、中国に替わる生産・輸出拠点としてベトナムが注目されている。

ベトナムの輸出を品目別にみると、米中対立が激化した2018年以降、「電子製品・電子部品」および「機械・機械設備」の比率が上昇している。また、生産工程別にみると、同じく2018年以降、最終財の伸びが減速する一方、中間財の増加ペースが加速した。米国向けのパソコン部品と、中国向けの集積回路の輸出増加が寄与しており、部品等の中間財の生産・輸出が拡大している。

米国の貿易統計をみても、2019年以降、ベトナムからの輸入の比率が高まる一方、中国からの輸入比率は低下した。また、東南アジア諸国の中ではベトナムだけが比率を上昇させており、中国に替わる生産・輸出拠点としてベトナムの存在感が高まっていることが読み取れる。
ベトナムが新たな生産拠点として選ばれる理由には、中国との地理的近さ、賃金・工業団地借料の低さ、主要国とのFTA(自由貿易協定)締結による関税障壁の低さが挙げられる。

もっとも、生産活動の急拡大に電力供給能力が追い付かず、足元では一部地域で節電要請が出るなど、生産活動に支障が出る事態にもなっている。地政学的な緊張が続く中、今後も生産拠点の立地としての競争力を維持するために、電力供給やインフラ整備の面で政府の対応が求められる。

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