- バイデン米大統領は、2024年の大統領選挙での再選をめざすが、現時点では高齢批判などから支持率が低迷しており、再選に黄信号が灯る。
- バイデン政権の政策を振り返ると、経済政策では、コロナ禍での経済対策や、CHIPSプラス法、インフレ抑制法などの「新しい産業政策」を推進してきた。「新しい産業政策」は、格差拡大、気候変動対策、サプライチェーン強化、技術管理・重要鉱物確保など中国への対抗策などの一連の課題解決を目指すものである。
- 米国内外の製造業企業による米国での工場建設が急増し、それにともない製造業の雇用も増加するなど一定の成果がみられる。もっとも、コロナ禍での大規模な経済対策がインフレを招き、米国民の実質所得を減少させたと批判されるほか、有権者の間では、低失業に加えインフレについてもようやくピークアウトが見込まれるようになるなど良好な経済環境にもかかわらずバイデン政権の経済運営に対する支持は低迷している。このため、再選に向けて、経済政策の一段の推進と成果の目にみえるアピールが必要不可欠といえる。
- その他の政策課題について、有権者が党派を超えて重視する不法移民対策での失政が目立つ。バイデン大統領が再選を果たすためには、メキシコ国境での不法移民対策で、顕著な改善が求められる。
- また、外交面では、欧州主要国や日本、豪州などの同盟国との関係強化を積み重ねてきた。対中政策についても、トランプ政権の成果を継承したうえで、中国の軍民融合を阻止するため経済制裁を効果的に強化した一方、米中首脳会談を継続し米中対立がエスカレートする事態を回避するなど、緻密な政策運営が際立っていると評価できる。
- もっとも、ウクライナ支援については、共和党有権者を中心に、支援疲れや厭戦気分がみられる。このため、ウクライナ支援のあり方が、共和党の候補指名争いにとどまらず、本選挙においても重要な論点として浮上する可能性があり、ウクライナの戦況がバイデン大統領再選のカギを握る展開も考えられよう。
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