- このところ財の輸入に弱さが見られており、日本銀行が公表する実質ベースで見た財の輸入動向を表す実質輸入指数は、2023年7~9月期まで3四半期連続で低下している。
- 実質輸入指数の内訳は公表されていないため、日本銀行による作成方法を参考に品目別の系列を作成すると、特に化学製品、鉱物性燃料、一般機械による下押し寄与が大きく、これら3品目で足元の実質輸入の減少分の約7割を説明できることが分かる。
- こうした財の輸入の減少は、国内外の需要の弱さを反映したものであり、最新2015年の産業連関表に基づけば、品目によって違いはあるものの、平均的には輸入額の変化のうち約8割を消費や設備投資等の国内需要、残りの約2割を海外需要(輸出)の変化によって説明できる。
- 先行きについて、化学製品のうち医薬品の輸入は、コロナ禍での特需の剥落を受けて目先は減少傾向が続くとみられるが、高齢化による構造的な需要の増加もあり、次第に底堅さを増してくると考えられる。一方、鉱物性燃料の輸入については、省エネ化・脱炭素の進展を受けて趨勢的に需要が縮小しており、今後も均して見れば、減少傾向で推移する見通しである。医薬品以外の化学製品と一般機械の輸入については、内外景気の動向に左右されるところが大きい。このところの内外景気は物価高や金利上昇を受けて力強さを欠いており、当面は緩やかな成長にとどまる見通しである。このため、化学製品や一般機械の輸入についても、弱い動きが続くと予想される。
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