- トランプ氏は共和党予備選挙で圧倒的強さをみせ、本選挙を想定した世論調査の支持率でもバイデン大統領をリード、特に本選挙の勝敗に直結する接戦州で優位を保つ。しかし、岩盤支持層を頼りに党内で強さをみせても、党内の反トランプ派や無党派層など浮動票を獲得できない状況は、過去の負けパターンの繰り返しにすぎない。
- 対するバイデン大統領は、女性の妊娠中絶の権利擁護で党派を超えた有権者への訴求力が高く、また、経済情勢の改善が多くの有権者に実感されるようになることも見込まれ、今後は秋の本選挙に向け勢いを取り戻していく公算が大きい。
- それでも、なお、今回の大統領選挙の最大の争点である移民問題では、トランプ氏が有利な立場にあり、両者の互角の戦いが最後まで続くことになる。
- なお、トランプ氏の裁判の行方に関心は高いが、重要な裁判で本選挙までに判決が示され、それが無党派層の投票行動に影響を与える可能性は低い。一方、大接戦が見込まれる中で「第3の候補」の動向、特に、トランプ、バイデン両氏のどちらの候補から、より票を奪うことになるのかが焦点となる。
- 仮にトランプ氏が当選する場合、世界経済悪化やインフレ圧力の高まりが懸念される。もっとも、トランプ氏は中国に対し関税をてこにディールを行うとみられ、そのような対応が、企業の中国事業に与える影響には注意が必要である。
- いずれにせよ、選挙戦はまだ両党の候補者が確定した序盤戦にすぎない。本稿の内容も、あくまで現時点での整理にすぎず、5つのポイント(移民問題、トランプ氏の裁判、妊娠中絶をめぐる議論、「第3の候補」、浮動票の行方)を軸に、秋にかけ長丁場の選挙戦が続くことになる。
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