- 米国では労働力人口が増加し潜在成長率を押し上げている。議会予算局の今年2月の推計によると潜在成長率は2.2%と、1年前の推計から0.5%ポイント上方修正された。
- 労働力人口はコロナ前ピークと比べ305万人増加、このうち、総人口要因が512万人に対し、参加率要因は▲208万人と、労働力人口の増加は、総人口の増加に起因する。
- 労働力人口を出生地別にみると、米国生まれの労働力人口は▲75万人減少したが、外国生まれの労働力人口(すなわち移民労働者)は380万人増加した。外国生まれの労働者のうち、米国籍取得者(帰化した人)、永住権取得者、長期滞在者は概ね横ばいで推移しており、人口増加はもっぱら不法移民の流入増によるものである。
- 米国に入国した不法移民は、職種別にみると、「建物、グラウンドの清掃メンテナンス」、「農林水産業」、「建設、天然資源抽出業」、「保健医療関連補助職」、「製造業」、「調理・配膳関連職」などの雇用を押し上げ、人手不足の緩和やそれにともなう潜在需要の顕在化などを通じて、米景気の回復に寄与したとみられる。不法移民の増加が労働供給を拡大させたことにより、人手不足の解消も視野に入りつつある。
- 一方、米大統領選挙をめぐり、トランプ氏は当選後に州兵を用いて1,000万人の不法移民を強制送還すると繰り返し主張している。米経済に大きなプラス効果を及ぼす移民を排除すれば、米経済は深刻な人手不足に直面、賃金上昇が加速しインフレが制御不能に陥るリスクが高い。仮にトランプ氏が当選し不法移民排除を行おうとすれば、その影響の大きさにより、経済界から大きな反発を招くことになろう。
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