- 米国は2018年以降、米中貿易摩擦が激化する中で複数回にわたって中国からの輸入品に対して追加関税を課した。その結果、中国からの輸入品に対する輸入額でみた課税割合は2018年に50%程度に上昇し、足もとでは60%を超える水準となっている。輸入額で加重平均した関税率は2019年に大きく上昇して近年は11%程度となっている。
- こうした追加関税の影響により、米国の中国からの輸入額は近年、伸び悩んでおり、米国の輸入に占める中国のシェアは2019年に大きく低下し、その後も低下が続いている。他方、米国の輸入におけるEU、メキシコ、ASEANなどのシェアは上昇しており、米国の輸入相手国は中国から他の国・地域にシフトしている。
- 米国の中国からの主な輸入品について、米国の輸入に占める中国のシェアをみると、事務用機器などが含まれる機械類、家電製品などが含まれる電気機器等、衣類及び衣類附属品、履物、家具等では2019年以降、低下した。それでも、履物、家具等、電気機器等は2023年時点で30%程度あるいはそれ以上のシェアを維持しており、これらの品目については米国の中国への輸入依存度は依然として高いと言える。
- 中国の世界向け輸出は増加傾向にあり、世界輸出に占める中国のシェアは2021年をピークとして緩やかに低下しているものの、2023年のシェアは米中貿易摩擦が激化した2018年の水準を上回っている。中国の輸出に占める米国のシェアは2019年以降、低下が続いている一方、EU、ASEAN、西アジア・南アジア・中央アジア、アフリカ・中南米のシェアは近年、上昇傾向にある。米中貿易摩擦以降、中国の輸出は新興国向けにシフトしており、対米輸出の伸び悩みを補っていると考えられる。
- 米国が今後、中国からの輸入品に対して、一律に追加関税を課した場合、米国の輸入における中国への依存度の低下が加速する一方、第三国への依存度がさらに高まることになるだろう。また、米国では2018年以降の追加関税の賦課により多くの品目で中国への輸入依存度が低下したものの、中国への輸入依存度が依然として高い品目も存在することから、品目によっては大きな影響が表れるものもあると考えられる。
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