○関西経済は、横ばい圏で推移している。生産、輸出などの主要な経済指標の動きをみると、振れをともないつつも均してみると横ばい圏での推移が続いている。失業率、有効求人倍率など雇用関連の経済指標は良好なものとなっているが、他の指標は総じて横ばい圏で推移している。一方、景気の動きを包括的に示す景気動向指数(CI一致指数)は、このところ弱含みとなっている。
○昨年12月に公表した「関西経済見通し」以降の外部環境の大きな変化として、マイナス金利政策の導入、消費税率引き上げの延期、英国国民投票によるEU離脱派の勝利などがあげられる。また、関西経済にとっては、インバウンド消費の状況や中国経済の減速も重要な外部環境の変化である。本見通しでは、これらの変化が関西経済に与える影響について検討しているが、マイナス金利政策、英国のEU離脱問題の影響については限定的との見方をとっている。
○一方、消費税率の引き上げ時期延期については、予測期間内の関西経済の先行きの変動に少なからぬ影響があると見ている。2017年4月に予定されていた消費税率の引き上げ時期が2019年10月に延期されたため、前回(12月)見通しで想定していた16年度の駆け込み需要と17年度の反動減がなくなり、関西経済は巡航速度での推移が見込まれる。景気の牽引役不在の中、世界経済、日本経済などの持ち直しに伴って、横ばい圏から緩やかな持ち直し基調での推移となろう。
○16年度の関西の実質域内総生産(GRP)は、前年比+0.4%と、15年度の同+0.3%(実績推計)に続き、小幅ながら2年連続でプラス成長となると見込む。消費税率引き上げ前の駆け込みは無いものの、実質所得の緩やかな改善により個人消費がプラスに寄与するほか、住宅投資、設備投資もプラスに寄与すると見込まれる。
○17年度については、前年比+0.7%と増加幅が小幅拡大し、3年連続のプラス成長を見込む。16年度に引き続き、個人消費、設備投資などがプラスに寄与しよう。
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