- 2022年度中はコロナ禍の影響が残る可能性があるが、2023年度には感染による経済活動への影響は収束し、アフターコロナ期に移行する。経済活動が正常化し、内外の人の移動もほぼコロナ前の状態に復帰し、インバウンド需要が急速に回復するであろう。こうした中で問題となるのが、第一に人手不足の深刻化である。コロナショックの発生直前まで、対面型サービス業を中心に、人手不足による供給制約に直面していたが、こうした業種ではコロナ禍において就業者が減少しており、再度増加させることは容易ではない。第二に、コロナ禍において先送りになった財政健全化と社会保障制度改革の問題が、高齢化が加速する中で、再び経済活動の重石となる可能性がある。
- 2023年度~2025年度には、労働投入量の減少ペースが加速する見込みで、コロナ禍の発生前から課題となっていた生産性向上に再度挑むことを余儀なくされる。幸いにも、本来は導入に時間がかかったと思われるテレワーク、業務のオンライン化、リモート化、無人化などの各種改革や規制緩和がコロナ禍で一気に導入、実用化された。この結果、労働生産性向上や労働参加率上昇の基盤が整ったと考えられ、これらコロナ禍で得られた成果や教訓の活用が始まる。なお、財政健全化、持続可能な社会保障制度の構築、世代間の不均衡是正のために、歳出見直しと消費増税が必要と考え、消費税率は2025年度に12%、2030年度に15%に引き上げられるとした。ただし、タイミングは後ずれする可能性があり、その際にはそれだけ財政健全化が遅れることになる。
- 2021年度~2025年度の実質GDP成長率は平均で+1.3%と高い伸びとなるが、コロナ禍の反動もあって2021~2022年度に高い伸びとなるためであり、2023~2025年度では平均で+0.5%と緩やかな伸びにとどまる。コロナショック後の経済正常化の過程における回復の勢いが一服し、人口減少、高齢化進展の影響が強まってくる中で持ち直しの勢いは鈍い。それでも、労働生産性向上や働き方改革の定着化によって供給能力の拡大は維持され、経済成長はプラス基調を維持する見込みである。
- 2020年代後半の実質GDP成長率は同+0.7%とプラス成長が続く。人口減少ペースが加速し、労働投入量の減少幅が拡大するといったマイナス効果が増大する一方で、生産性の伸びの確保、インバウンド需要の回復本格化などにより1人当たりGDPの伸びはこれまでと同テンポを維持できるであろう。
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やカーボンニュートラル達成、環境対応のための設備投資、研究開発投資(R&D投資)は、今後も増加していく見込みで、一定の経済の押し上げ効果は期待できる。ただし、国際的な競争が激しさを増す中で、どの程度成長率の押し上げに寄与するかは未知数であり、過度の期待は禁物である。
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