2022/2023年度短期経済見通し(2022年2月)~一時的な足踏み状態に陥るも、再び緩やかな回復基調へ~

2022/02/17 調査部
日本経済短期見通し
GDP
国内マクロ経済
  • 2月15日発表の2021年10~12月期の実質GDP成長率は、前期比+1.3%(年率換算+5.4%)と堅調な結果となった。感染第5波の収束、緊急事態宣言の全面解除を受けて、対面型サービスへの支出を中心に個人消費が大きく増加し、全体をけん引した。それでも、コロナ前である2019年10~12月期の水準には届いていない。2021年に入って前期比での成長率がプラスとマイナスを交互に繰り返しており、米欧中などすでにコロナ前を回復している他の主要国・地域と比べると回復力は鈍い。
  • 年明け後は、オミクロン株の感染急拡大と多くの地域でのまん延防止等重点措置の適用によって個人消費が再び悪化しており、景気は一時的に足踏み状態に陥る可能性がある。それでも、オミクロン株の重症化リスクが小さいこともあり、需要抑制によるマイナス効果がこれまでの緊急事態宣言発出時と比べ軽微にとどまると見込まれ、2022年1~3月期の実質GDP成長率は前期比+0.1%(年率換算+0.2%)と辛うじてプラス成長を維持できると予想している。
  • ただし、①消費者物価の上昇により、消費者マインドが悪化する、②各国で金融政策は引き締めに転換して金利が上昇しつつあり、景気拡大のブレーキとなる、③ウクライナ情勢など地政学リスクが資源価格高騰や金融市場の動揺につながる、といった景気下振れ要因が強まれば、2022年1~3月期に再びマイナス成長に陥る可能性もある。
  • 2021年度の実質GDP成長率は前年比+2.5%(ゲタの効果を除いた成長率では同+0.7%)と、前年度の落ち込みと比べると小幅のプラスにとどまる。また、実質GDPの水準のコロナ前回復は、2022年4~6月期にずれ込もう。
  • 景気の一段の下振れを回避するためには、まずは3回目のワクチン接種の促進などの感染拡大防止策の徹底、医療提供体制の整備、治療薬の確保が求められるが、一方で、ワクチンパスポートの積極的な活用など感染拡大防止と社会経済活動を両立させる工夫や、国境を越えた人の移動を拡大するよう体制を整えることも必要である。
  • 2022年度に入れば、感染第6波の収束とワクチン接種の進展により、個人消費を中心に景気は回復基調に復帰し、感染状況次第でGo Toキャンペーンなどの需要喚起策の再開も可能となって、景気を押し上げると期待される。2022年度中は、感染拡大防止と経済社会活動活性化のバランスを慎重に図ることが求められ、需要の回復を抑制する要因となる一方、感染の一時的な拡大はあっても小規模にとどまり、まん延防止等重点措置などの適用は回避されると想定しており、年度末の実質GDPは消費税率引き上げ前の2019年7~9月期を上回り、過去最高を更新しよう。2022年度の実質GDP成長率は前年比+2.8%(ゲタの効果を除いた成長率では同+2.3%)を予想する。
  • 2023年度は、コロナの感染拡大による社会経済活動の制限はほぼ解消される見込みであり、景気の回復が続く。実質GDP成長率は前年比+1.8%(ゲタの効果を除いた成長率では同+1.0%)を予想する。

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