2022/2023年度短期経済見通し(2022年3月)(2次QE反映後)~緩やかな回復基調への復帰が期待されるが、ウクライナ情勢によっては下振れも~
2022/03/10 調査部
日本経済短期見通し
GDP
国内マクロ経済
- 3月9日発表の2021年10~12月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比+1.1%(年率換算+4.6%)と1次速報値の同+1.3%(同+5.4%)から小幅に下方修正されたが、堅調な結果であることに変わりはない。感染第5波の収束、緊急事態宣言の全面解除を受けて、対面型サービスを中心に個人消費が急増し、全体をけん引した。
- 年明け後も景気は緩やかに持ち直しているが、オミクロン株の感染急拡大と多くの地域でのまん延防止等重点措置の適用によって個人消費が再び悪化するなど、一部に弱さが見られる。それでも、①オミクロン株の重症化リスクが小さいこともあり、需要抑制によるマイナス効果がこれまでの緊急事態宣言発出時と比べ軽微にとどまると見込まれること、②感染が2月上旬にピークアウトしたことで今後は需要の盛り返しが期待できることから、2022年1~3月期の実質GDP成長率は前期比横ばい(年率換算0.0%)と、辛うじてマイナス成長は回避できると予想している。
- ただし、①消費者物価の上昇により、消費者マインドが悪化する、②各国の金融政策が引き締めに転換しており、金利上昇が世界経済のブレーキとなる、③ウクライナ情勢悪化による資源価格高騰や金融市場の動揺といったマイナスの影響が拡大する、などの景気下振れ要因が強まれば、1~3月期がマイナス成長に陥る可能性があるほか、2022年度上期の成長率を押し下げる要因となる。
- 2021年度の実質GDP成長率は前年比+2.3%(ゲタの効果を除いた成長率では同+0.6%)と、前年度の落ち込みと比べると小幅のプラスにとどまる。また、実質GDPの水準のコロナ前回復は、2022年4~6月期にずれ込もう。
- 景気の一段の下振れを回避するためには、まずは3回目のワクチン接種の促進などの感染拡大防止策の徹底、医療提供体制の整備、治療薬の確保が求められるが、一方で、ワクチンパスポートの積極的な活用など感染拡大防止と社会経済活動を両立させる工夫や、国境を越えた人の移動を拡大するよう体制を整えることも必要である。
- 2022年度に入れば、感染第6波の収束とワクチン接種の進展により、個人消費を中心に景気は回復基調に復帰し、感染状況次第でGo Toキャンペーンなどの需要喚起策の再開も可能となって、景気を押し上げると期待される。2022年度中は、感染拡大防止と社会経済活動活性化のバランスを慎重に図ることが求められ、需要の回復を抑制する要因となる一方、感染の一時的な拡大はあっても小規模にとどまり、まん延防止等重点措置などの適用は回避されると想定しており、2022年度の実質GDP成長率は前年比+2.6%(ゲタの効果を除いた成長率では同+2.2%)を予想する。ただし、ウクライナ情勢の行方次第では、資源価格高騰、高止まりにより景気が下振れるリスクがある。
- 2023年度は、コロナの感染拡大による社会経済活動の制限はほぼ解消される見込みであり、景気の回復が続く。実質GDP成長率は前年比+1.8%(ゲタの効果を除いた成長率では同+1.0%)を予想する。
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