2022/2023年度短期経済見通し(2022年12月)(2次QE反映後)~景気回復のペースは鈍化するものの、腰折れには至らない~

2022/12/09 調査部
日本経済短期見通し
GDP
国内マクロ経済
  • 12月8日発表の2022年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比-0.2%(年率換算-0.8%)と2四半期ぶりのマイナス成長に陥った(1次速報の前期比-0.3%、年率換算-1.2%から上方修正)。もっとも、サービス輸入の急増という一時的要因によるもので、内需の増加は続くなど、景気の緩やかな回復基調は維持されている。
  • 10~12月期はプラス成長に復帰し、プラス幅も前期比+1.0%と大きめとなろう。①全国旅行支援の影響もあり、対面型サービスを中心に個人消費の増加が続く、②底堅い投資意欲を背景に設備投資の増加が続く、③水際対策緩和でインバウンド需要が増加する、④外需寄与度が反動で大きなプラスとなる、などがプラス要因となる。感染第8波の拡大が懸念されるが、行動制限が課されないうえ、感染症対策も進展しており、景気下押し効果は限定的である。
  • ただし、①資源価格上昇や日米金利差拡大を受けた円安によって物価上昇の勢いが強まっており、消費者マインド悪化、実質購買力低下を通じて、財を中心に支出が抑制される、②世界的な物価上昇を背景に、米国をはじめとした各国で金融引き締め政策が進められており、金利上昇が世界経済の回復ペースを鈍らせ、輸出が減少する、といった景気下振れリスクが顕在化すれば、年明け以降の景気回復テンポが大幅に鈍る可能性がある。また、労働需給がタイト化しつつあり、人手不足を背景に供給制約が発生する懸念もある。
  • 2022年度の実質GDP成長率は前年比+1.7%を予想する。2022年度は、徐々にコロナショック前の生活様式に戻っていく、アフターコロナ期への移行期間に位置付けられ、家計部門においては、これまで抑制されてきた対面型サービスへの支出増加など平時への復帰が、企業部門においては、これまで手控えられていた設備投資の再開やアフターコロナ期を見据えての前向きな投資の増加が、景気を押し上げる原動力となる。このため、景気下振れリスクが強まったとしても、景気が後退局面に入ることは回避できる見込みである。
  • 2023年度の 実質GDP成長率は前年比+1.3%を予想する。コロナ禍による経済社会活動の制限はほぼ解消される見込みであり、内需を中心に景気の緩やかな回復が続くが、回復テンポは鈍化するであろう。政策効果により少なくとも年度前半は物価上昇率が抑制されるが、それでも家計のインフレ警戒感を背景に節約志向が強まる可能性があるほか、リベンジ消費の勢いも一巡する。また、海外経済の減速を受けて、輸出の伸びも鈍ると予想される。一方、雇用情勢の改善、賃金上昇が続くことや、企業の設備投資の増加が維持されることは景気にとってプラス材料となる。さらに、年度末にかけて、海外経済の減速に歯止めがかかり、物価上昇圧力が落ち着いてくれば、次第に景気回復の足取りもしっかりとしたものになってくるであろう。
  • 2024年度も前年比+0.9%とプラス成長が続くが、コロナ禍からの回復による押し上げ効果一巡でテンポは鈍ろう。

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