2024/2025年度短期経済見通し(2025年2月)~下振れリスクを伴いつつも、景気は緩やかな持ち直しが続く~

2025/02/19 調査部
日本経済短期見通し
GDP
国内マクロ経済

2月17日発表の2024年10~12月期の実質GDP成長率(1次速報値)は、前期比+0.7%(前期比年率換算+2.8%)となった。3四半期連続でのプラス成長であり、水準も四半期ベースでの最高額を更新した。景気が緩やかに持ち直していることを確認する結果である。ただし、物価高による節約志向の高まりなどにより個人消費が前期比+0.1%と小幅増加にとどまり、内需の前期比寄与度が-0.1%となるなど、内容は見た目ほど強くない。

2025年1~3月期もプラス成長が続こう。賃金、雇用情勢の改善が続く中で、個人消費は緩やかながらも増加基調を維持しよう。また、企業の設備投資意欲の高さを背景に設備投資の増加は続く見込みであり、景気全体を下支えしよう。一方、米国トランプ大統領による関税引き上げをにらんだ駆け込みもあって財輸出は増加するが、サービス輸出が前期に高めの伸びとなった反動で減少するため、インバウンド消費の増加を考慮しても外需寄与度は低めにとどまる見込みである。この結果、2024年度の実質GDP成長率は前年比+0.8%と4年連続でのプラス成長になると予想する。2023年度の同+0.7%と同程度の緩やかな伸びとなるが、マイナスの成長率のゲタ(-0.6%)によって見かけ上の伸び率が低いためで、それを除けば+1.4%と底堅い伸びである。

2025年度の景気も緩やかな持ち直し基調を維持し、前年比+1.2%とプラス成長が続くと予想するが、これまで以上に下振れリスクへの目配りが必要となるであろう。

景気のプラス要因として、第一に2025年の春闘でも高い賃上げの達成が見込まれることがある。このため、年度後半にかけて物価上昇圧力が徐々に落ち着いてくることと合わせて消費者マインドも徐々に持ち直し、個人消費の増加基調は維持されよう。次に、好業績や人手不足を背景に企業の設備投資意欲が強い状態が維持されると考えられ、設備投資による景気下支え効果が期待される。さらに、インバウンド需要の増加が続くことや、世界的な半導体需要の回復なども景気にとってプラス材料となる。なお、政府の新たな経済対策(国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策)による景気押し上げ効果や、日本銀行の金融引き締めによる景気へのマイナス効果は限定的であるとみている。

一方、円安、天候不順、人件費や物流コストの増加などによって物価上昇圧力が強い状態が続けば、消費支出が抑制される懸念があるほか、米国および中国など海外経済の減速、人手不足による供給制約といったマイナス材料が強まれば、景気の持ち直しの勢いが弱まってくる。中でも米国のトランプ大統領の政策による影響が不確定要素であり、関税引き上げ、米中の貿易摩擦の再燃、地政学リスクの高まりなどによって世界経済が悪化すれば、国内景気にも失速のリスクが出てくる。

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