○東海経済は横ばい圏で推移してきたが、足下では持ち直しの動きがみられる。生産、輸出、消費などの動きを示す主要な経済指標は、短期的な振幅を伴いつつも、均してみれば横ばい圏で推移してきたが、このところ、生産、輸出が持ち直しつつある。当地域の主力業種である自動車産業において、ニューモデル投入による増産がみられること、米国経済の緩やかな回復もあって北米向けの輸出が好調であることが、持ち直しの動きにつながっている。一方、個人消費は、雇用関連の指標が良好ではあるものの、所得環境があまり改善しない中で、横ばい圏で推移している。また、住宅着工はこれまで持ち直し傾向で推移してきたが、足下で持ち直しが一服している。
○2015年度から17年度の本見通しの予測期間において、基調としては横ばい圏のトレンドが持続すると見込まれる。この横ばいトレンドを軸にして、17年4月に予定されている消費税率引き上げが経済の流れに振幅をつけるというのが当面の東海経済の姿と見込まれる。
○世界経済が緩やかな回復基調をたどる中、外需は緩やかに拡大すると考えられるが、企業の海外進出が進んでおり、輸出の伸びは緩やかなものに留まろう。内需のうち、公需は財政の制約から一段の拡張は困難な状況にある。民需については、設備投資、個人消費の動きが鍵となる。当地域においては、他地域と比較して設備投資が比較的高い伸びとなると見込まれるが、一方で最大の需要項目である個人消費は、拡大の前提となる所得環境が他地域よりは良好であるものの大きくは改善しないことなどから、横ばい圏内での動きに留まると見込まれる。
○15年度の東海の実質域内総生産(GRP)は、+1.6%と2年ぶりのプラス成長となると見込まれる。個人消費、設備投資が成長率引き上げに寄与する。15年度は東海地区においてもインバウンド消費額が急増したと見込まれるが、全体のGRP成長率1.6%のうち、インバウンド消費の寄与度は0.1%と関西に比べると寄与は限定的である。
○16年度については、17年4月に予定されている消費税率引き上げを受けて、個人消費、住宅投資などに駆け込み需要が発生し、成長率は+1.9%と高まってくると見込まれる。当地域の主力である自動車産業は、税率引き上げ前の駆け込みの影響を受けやすい業種であるため、16年度の成長率は他地域に比べて相対的に高めとなろう。
○17年度については、前年の駆け込みの反動により、成長率は-0.7%と2年ぶりのマイナス成長となろう。他地域に比べて駆け込みが大きかっただけに反動も大きくなると予想される。
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