2016年度~2018年度 東海経済見通し~ 東海経済は緩やかに持ち直し ~

2016/12/26 塚田 裕昭
東海経済見通し
国内マクロ経済

○東海経済は、横ばい圏で推移しているが、一部に持ち直しの動きが見られる。主要な経済指標の動きをみると、振れを伴いつつも均してみると横ばい圏での推移が続いている。そのような中、足下では、生産、輸出に持ち直しの動きが見られる。

○16年7月に公表した「東海経済見通し」以降の外部環境の大きな変化として、米国の大統領選によるトランプ氏の勝利とその後のマーケットの変動があげられる。もっとも、すでにマーケット環境など外部環境に大きな変化が現れているものの、本見通しでは米国等世界経済の見方については大きな変更はしていない。ドル高、株高の進展など、足下の金融マーケットの動向は、トランプ新大統領下の米国経済を期待先行で高評価した結果と見ている。米国経済は、12月に利上げが実施されたこともあるように基本的には堅調であるが、これはトランプ氏の大統領選勝利後に流れが変わったというものではなく、前回見通し時から想定していたことである。トランプ新大統領の経済政策については拡張的な財政政策が見込まれているため、実施の際には短期的には経済活動の引き上げが期待されるが、現段階では政策実現への不確実性が高いため、景気押し上げ効果について大きくは見積もっていない。

○ドル円レートに関しては、足下の為替レートの水準変化に対応して、2017年は前回見通しに対しドル高方向に修正している。ドル高円安の進展は、輸出増を通じて日本経済に対しプラスの影響が連想されるが、近年の為替レートと輸出の関係性は薄れてきている。このため、円安の定着は想定するものの、そのことによる輸出増は控えめに見積もっている。もっとも、ドル高円安の進展は、輸出企業の受け取り代金の増加により企業収益を着実に上振れさせる面があるので、企業収益という面では日本経済にプラスの影響は見込まれる。

○16年度の東海の実質域内総生産(GRP)は、前年比+0.9%と、15年度の同+1.2%(実績推計)に比べ伸び率が縮小となるが、2年連続でプラス成長を見込む。消費税率引き上げ前の駆け込みは無いものの、所得環境の緩やかな改善により個人消費がプラスに寄与するほか、住宅投資、設備投資もプラスに寄与すると見込まれる。

○17年度については、前年比+1.4%と増加幅が拡大し、3年連続のプラス成長を見込む。16年度に引き続き、個人消費、設備投資、公共投資などがプラスに寄与しよう。

○18年度も、前年比+1.1%と4年連続のプラス成長を見込む。東海経済は前年比+1%前後の緩やかな持ち直しが続くと見込まれる。

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