11月15日に発表された2021年7~9月期の実質GDP成長率は、前期比-0.8%(年率換算-3.0%)と2四半期ぶりにマイナスとなった。感染第5波の拡大が個人消費を押し下げたことに加え、半導体をはじめとした部品不足により自動車などの生産に制約がかかり、個人消費や設備投資、輸出を減少させたことが、コロナ禍からの回復に水を差した。
需要項目ごとの動きをみていくと、実質個人消費は前期比-1.1%と大きく減少した。特に、減産を余儀なくされた自動車販売の大幅減が寄与し、耐久財消費(前期比-13.1%)の落ち込みが大きかった。さらに、本来繁忙期である夏休みの時期に緊急事態宣言が発出されたことで、宿泊・飲食などの対面型サービスが急減したことも影響した。9月に感染第5波が収束し対面型サービスは持ち直したものの、夏場の減少を十分に取り戻すことはできず、サービス消費(同+0.1%)は小幅増にとどまった。
実質住宅投資は、住宅着工件数は底打ちし、前四半期まで2四半期連続で増加していたものの、資材価格など建設コストの増加もあって一時的に調整が入り、前期比-2.6%と減少に転じた。
企業部門では、実質設備投資は前期比-3.8%とマイナスに転じた。業績改善を背景に企業の設備投資意欲は底堅さを失ってはいないものの、部品不足を背景に資本財の出荷が減少するなど、供給側の要因もあって投資が制限された。実質在庫投資は、コロナ禍で減らしていた在庫を復元する動きがみられ、実質GDP成長率に対する前期比寄与度は+0.3%とプラスに寄与した。
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