8月15日に公表された2023年4~6月期の実質GDP成長率は、前期比+1.5%(年率換算+6.0%)と急上昇した。景気の回復が続いていることを示すものであり、水準も2019年7~9月期を上回って過去最高額を更新した。ただし、輸入減少による押し上げ効果が大きいなど見かけほど強い内容ではなく、景気の回復ペースは引き続き緩やかである。
需要項目ごとの動きを見ていくと、内需のうち実質個人消費は前期比-0.5%と3四半期ぶりに減少した。内訳を見ると、感染症法上の分類が5類に変更されたことをきっかけに、コロナ禍の終息に向けた動きが加速していることで、宿泊・飲食サービス、旅客輸送、レジャーといった対面型サービスへの支出が増加し、サービスは同+0.3%と増加が続いた。ただし、2022年10~12月期の同+1.3%、2023年1~3月期の同+0.8%と比べると、押し上げ効果は徐々に緩やかになっている。また、半耐久財(被服・身の回り品など)も同+2.8%と人流の増加を背景に増加した。一方、非耐久財(食料、エネルギー、日用品など)は同-1.9%と減少し、耐久財は生産制約が緩和したことで自動車の販売は増加したものの、白物家電などの落ち込みが大きく同-3.3%と減少した。いずれも価格上昇圧力が強まっており、物価上昇を受けた消費者マインドの悪化を反映して購入を控える動きが広がっている可能性がある。
実質住宅投資は、資材価格の高騰で持家の着工が低迷している一方、貸家が増加基調にあることなどを反映して、前期比+1.9%と3四半期連続で増加した。
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