大企業の業況判断DIは、製造業で横ばい、非製造業では改善
本日発表された日銀短観(2018年12月調査)における大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査(9月調査)と同じ19となり、ここまで3四半期連続で悪化していたが、歯止めがかかった。
業種別にみると、素材業種は1ポイント改善の15、加工業種は1ポイント悪化の21だった。素材業種では、10月初めまで上昇し続けた原油価格が業績にプラスに作用した石油・石炭や、需要が底堅い繊維や化学で上昇した。一方、加工業種では、輸出の動きが鈍かった一般機械類や自動車で悪化した。ただし、米中貿易摩擦については、日本企業への直接の影響が軽微であるため、企業業績への影響はまだ顕在化していないと考えられる。
大企業非製造業では前回調査から2ポイント改善し、24に上昇した。人件費や原材料費の上昇が業績を圧迫したと見られる建設で悪化したものの、良好な雇用・所得情勢に下支えされた需要の強さを反映し、ほとんどの業種で改善した。不動産はオフィスビルなどの需要の底堅さが、小売や宿泊・飲食サービスは夏場の天候不順や自然災害のマイナスの影響が剥落したことが改善の要因となった。
先行きについては、大企業製造業では4ポイント悪化の15、大企業非製造業でも4ポイント悪化の20となった。製造業では、足元での大幅な原油価格の下落が石油・石炭の業績を圧迫すると見られることに加え、自動車やはん用機械、生産用機械など海外経済の動向が業績に大きく影響する業種で、米中貿易摩擦が業績に影響することが懸念されている。非製造業では、運輸・郵便や対個人サービスでの人手不足への懸念の強まりが、業績が悪化するという見方につながっていると考えられる。
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