新型コロナウイルスの影響で大企業の業況判断は製造業、非製造業とも大幅悪化
本日発表された日銀短観(2020年3月調査)における大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査(2019年9月調査)から8ポイント悪化の-8となった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が大きく影響し、2013年3月調査以来、7年ぶりのマイナスとなった。もっとも回収基準日が3月中旬であることから、深刻さを増す感染拡大や東京オリンピック・パラリンピックの開催延期を完全に織り込んでいない可能性があり、足元の景況感はさらに悪化している可能性がある。
業種別にみると、素材業種は8ポイント悪化の-7、加工業種も8ポイント悪化の-8といずれも大きく悪化した。素材業種は、資源価格の下落が業績を圧迫する石油・石炭や非鉄金属のほか、需要の弱い鉄鋼を中心に多くの業種で悪化した。加工業種では、外需の弱い生産用機械を筆頭に、全ての業種で悪化した。特に、消費増税や自然災害の影響により前回調査で大きく悪化した自動車が引き続き悪化するなど、グローバル・サプライチェーンの寸断が日本経済に与える影響の大きさがうかがえる。
大企業非製造業は、前回調査から12ポイント悪化の8となった。企業向けの需要が強い物品賃貸や情報サービスは改善したが、新型コロナウイルス流行に伴うインバウンド消費の蒸発や自粛ムードによる国内需要減少の直撃により、宿泊・飲食サービス、旅行業や遊園地などの娯楽業を含む対個人サービス、旅客輸送が急減した運輸・郵便で大きく悪化した。一方、外出自粛などを受けて販売が増加したため小売業の悪化は小幅だった。
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