大企業の業況判断は改善が続く
本日発表された日銀短観(2021年6月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、改善は続いているものの、好調な外需が追い風となる製造業と、感染拡大に伴う行動制限の影響が直撃する非製造業との間での格差がさらに拡大する結果となった。
大企業製造業は、前回調査(2021年3月調査)から9ポイント改善の14と、改善が続いた。ワクチン接種で先行する欧米や中国での需要持ち直しや、為替の円安傾向を背景に、一般機械類や電気機械、さらにはこれらの業種に原材料や部品を供給する化学や非鉄金属など、幅広い業種で業況の改善がみられた。一方で、世界的な半導体不足で生産にブレーキがかかった自動車の景況感は一時的に悪化した。
大企業非製造業は、前回調査から2ポイント改善の1と改善は小幅にとどまった。5四半期ぶりに「良い」超となったものの、「悪い」と回答した企業割合の低下による消極的な改善であり、行動制限が頻繁に行われる中、本格的な回復には至っていない。コロナ禍の影響が大きい娯楽業、旅行業を含む対個人サービスや宿泊・飲食サービスといった対面型サービス業は改善したものの、大幅な「悪い」超が続いている。また、これまで大幅な「良い」超が続いていた小売での急激な悪化が、非製造業全体の数字を押し下げた。
先行きは製造業で13と1ポイントの悪化を、非製造業では3と2ポイントの改善を見込んでいる。ワクチン普及への期待と、感染再拡大への懸念が交錯する中で、先行きへの不透明感を反映した結果となった。
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