大企業の業況判断は、製造業で改善が一服、非製造業は改善が加速
本日発表された日銀短観(2021年12月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、コロナ禍において先行して回復していた製造業と、回復が遅れていた非製造業との間の差が縮小する結果となった。すでに高水準にある製造業で横ばいにとどまったのに対し、非製造業は10月の緊急事態宣言全面解除を背景に対面型サービスで大幅に改善した。
大企業製造業は、前回調査(2021年9月調査)と同じ18となった。前回調査で景気拡張局面時に匹敵する高水準を記録したこともあり、改善が一服した。国内外の設備投資需要の高まりを追い風とした生産用機械、業務用機械などの改善が大きかった。一方で、資源価格上昇がコスト増となる化学や鉄鋼など素材業種を中心に多くの業種で悪化したほか、半導体など部品不足の影響が剥落したものの、未だ挽回生産には至っていない自動車での悪化が製造業全体の景況感回復を足踏みさせた。
大企業非製造業は、前回調査から7ポイント改善の9と、6四半期連続で改善した。10月の緊急事態宣言全面解除を背景に、コロナ禍で需要が激減していた娯楽業、旅行業を含む対個人サービスや宿泊・飲食サービスといった対面型サービスで大幅に改善した。
先行きは製造業で13と5ポイントの悪化を、非製造業では8と1ポイントの悪化を見込んでいる。選択肢別社数構成比をみると、製造業、非製造業いずれも「良い」、「悪い」と判断した企業の割合が低下し、「さほど良くない」の割合が上昇した。景気を左右する今後の感染症の動向や資源価格の行方が見通しにくいことから、先行きを慎重に判断する企業が多くみられる。なお、回答基準日が11月29日だったため、新型コロナウイルス・オミクロン株の影響はほとんど織り込まれておらず、今後明らかになるオミクロン株の性質次第では、景況感をさらに下押する懸念もある。
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